雨夜の密会
「これより1時間休憩に入ります!」
1人の先輩アシスタントがそう大きな声で言った。
張ったテントにカメラマンやアシスタント、他のスタッフ、モデルなどが帰って来る。
お茶を淹れ、弁当を配り終えると自分も休憩が出来る。
テントの端っこに座り、弁当をほんの10分程で食べ終わらせ、自分のカメラが入ったリュックを背負いテントを出た。
「鳴海?どっか行くの?」
俺のことを可愛がってくれ、世話をしてくれている先輩アシスタントの池田(イケダ)さんがそう聞いてきた。
「ちょっと写真を撮りに行こうかと……」
「そうなんだ。次の撮影は13時からだから10分前には帰って来いよ」
「はい」
笑顔でそう言った池田さんに、俺も笑顔で返事をして頭を下げた。