雨夜の密会



写真を撮っていてもベンチに座っている女の子が気になって仕方がない。


チラチラと女の子を見る。


その時、女の子と目が合った。


“ドクン”と心臓が跳ね上がる。


俺は女の子からすぐに目を逸らしてカメラに集中するけど……。



「お兄さん?」



えっ?


ファインダーから目を離すと、隣にさっきの女の子が笑顔で立っていた。



「うわぁ!」



俺を見て女の子がクスクス笑う。


吸い込まれそうな大きな瞳。


透き通るような白い肌に、漆黒の長い髪。


俺の心臓はドクドクと早く脈打っていた。


これが俺と葵の出会いだったんだ。




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