雨夜の密会



久しぶりの休日。


携帯の着信音に起こされた。


ベッドから手を伸ばし携帯を取る。


画面を見ると知らない番号が表示されていた。


誰だ?



「はい……」


『蓮?私!』



耳に響く元気な声。


葵ちゃん?



「どうしたの?」


『蓮が都合のいい日に電話してって言ったんじゃん』


「そうだっけ?」


『そうだよ!忘れたの?』


「あ、いや……」



完璧に忘れてた。



『もしかして寝てた?』


「うん……」



ベッドの上で寝返りをうつ。



『もうお昼だよ!』


「うん……」



眠くて目が開かない。


意識が遠のいていく。



『写真、出来た?』


「写真?」


『もぉ!公園で撮ってくれた写真!』


「あぁ……出来てるよ……」


『取りに行くから住所、教えて?』



その言葉で俺の目は一気に覚めた。


ベッドから上半身を起こす。


住所を教えろって、それはマズいだろ。




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