A-YA-KA-SHI☆バスター!!
 海の上に浮かんでいる『何か』は、さっきよりも実体に近くなっているような気がするが。
 諒の左手には、細長く光る剣のようなものが握られていた。
 飛び掛かりざま、諒はそれを横に振り抜く。
 だが、それはかわされる。
 続けざまに彩が、両手を頭の上にかざす。
 すると、彩の手の先にも光が集まった。
 それを一気に投げ付ける。
 一瞬一瞬の、信じられないような攻防戦だった。
 何が起こっているのかもっと近くで見たくて、美樹は思わず入り口のドアノブに手をかけた。
 だが何故か、押しても引いてもドアが開かない。


「ダメ。外に出ないでって言ったでしょ」


 視線は諒と彩から外さず、悠が背中越しにそう言った。
 よく見ると、さっき悠が発した青い膜のようなものが店全体を包んでいる。


「あれは何なの・・・?」


 声は普通に聞こえるらしい。
 美樹は、悠に聞いた。


「俺たちの、喧嘩相手だよ」
「喧嘩?」
「そっ。相手は人間じゃないけどね」


 こんな状況でも、穏やかな悠の口調は変わらないらしい。
 確かにあれが、人間とは思えない。
 だとしたらあれは何なんだろう?
 どうして、あんなものと『喧嘩』しているんだろう?
 考えれば考えるほど、美樹の頭の中は混乱していった。
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