Realtime:kiss
「何見てんだよ」


いきなり顔を上げ、碕岡蒼佑の顔をのぞき込んでいた私と目があった。

っ、

やだぁあ、私ったら・・・


「う、運転手さん、そ、そこの角、左に曲がって下さい・・・」カミカミで運転手さんに伝える。


コイツに家を教える訳にはいかない。



曲がった所で降りよう、そう思った。


カッチン、カッチン、タクシーはウインカーを出しながら左折した。


「止めて下さい、ここで降ります。」


タクシーは速度を落とし、路肩に寄る。


「おい、おまえんち、ここから歩くのか?」


「え?」


開けられたドアから見える景色。

市街地から少し離れた郊外は住宅以外、畑が広がるのどかな風景。


「あっ、うん、あたしんち、先が袋小路になってるから・・・」


下手な言い訳が通用する訳もなく、結局家の前まで来てしまった。



「へぇ、このマンションねぇ・・・」



何故かこの男も私と一緒にタクシーを降りた。


さっきまで降りる気配が無かったから安心してうちに向かったのに・・・


一応女だからって、「襲われでもしたら寝覚めが悪いだろ?」なんて、憎まれ口をたたく始末。











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