Realtime:kiss


私はゆっくりと奈津紀の方を見た。


奈津紀はベッドの横のサイドテーブルにケーキの箱を置き、パイプ椅子に腰掛け、私の手をとった。


「…辛いのは分かるよ?
苦しいよね…
そりゃああたし達は第三者で、当事者じゃないし…
でも、陽子やあたし、奈緒とちゃんと向き合ってきたじゃない…
奈緒だってそうでしょ?
そこいらに転がってるような薄っぺらな関係じゃないはずでしょ?
そんな事言わないでよ、お願いだから…」


奈津紀は目に涙を浮かべ私の言葉を待っている…


「気弱になってんのかなぁ、別に会社がどうとかじゃなくて……
あんな事があって、同僚達に、上司に、受け入れて貰えないんじゃないかって…

そんな事考えてたら、私はただ単に会社のお荷物みたいな?
だったらいない方がいいのかなぁって…

漠然と思っただけ…ごめんね?
変な事、言っちゃったねもう言わないから、ごめん」


「奈緒……ため込んじゃだめっ
何でも話してよ!
その為にあたし達が居るんだからね!
はい、この話はもうおしまい、さっ、ケーキ食べよ!」


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