Realtime:kiss
蒼佑はゆっくり振り返ったが、言葉は発しない。


「ん?」

私は眉を少し上げ、蒼佑の言葉を待った。


「……圭吾からの電話じゃねぇ?」


それだけ言うとリモコンでテレビを消した。


「ん~ん。なぁ奈緒、晩飯どうする?」



山中さんからの電話…


たったそれだけの事。

友人で同僚なんだから、電話なんて、しょっちゅうしているはずなのに、さっきの間は一体何だったのか…


少し不思議に思ったけど、その後の蒼佑の態度はいつもと変わらない。


ま、いっか…


その後、冷蔵庫を漁りながら、今晩の献立作りに勤しんだ私であった。



食事を終え、私はある事に気付き、蒼佑に尋ねた。


「あの、さぁ、蒼佑君、仕事、明日仕事行くんでしょ?あたし、やっぱ、うちに帰るよ」


「あぁ、仕事ねぇ、有休取った」


えっ?有休?


「毎年毎年、全然消化しないまま、流してんだよ、勿体無ぇだろ?
なんか、こうきっかけがなきゃ、取りづらいし……
結婚でもしてりゃあ、家族をダシに取れんだけど…」


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