Realtime:kiss
翌朝、蒼佑に叩き起こされるまで目が覚めることはなかった。



「こらっ、早く起きろよ」


「もお、まだ6時じゃん。もうちょっと寝かせてよ」

「早くしろよ。間に合わねぇだろうが」

まだ寝ぼけているのか、蒼佑の言ってる意味が分からない。


お昼に来る引っ越し屋さんには余裕のよっちゃんで間に合うと言うのに……


夕べ今朝用に買っておいた菓子パンにかぶりつき、身支度を整え家を出たのは7時過ぎの事だった。


「ねぇ、どこに行くの?」


駅に向う途中たまらず聞いてみた。

「…お前んちに決まってんだろ?」

…………


「だぁからぁ、お前の実家。…親なら…心配だろう?たった一回しか会ってない、見ず知らずの男ん家に、なんて……」


私の右手をギュッと握り締めながら前を向いたままの蒼佑。


嬉しい、私の親の事まで気遣ってくれてるんだ。






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