Realtime:kiss
「あったあった、明日のお楽しみぃ…」


そして、手にしていたグラスの中のビールを飲み干した。


それきり、蒼佑はその事に触れることはなかった。


明日、チェックインは何時だとか、車の運転の特訓がどうだとか、そんな話しで時は過ぎていった。


洗い物も終わり、その間に蒼佑はお風呂の用意をしてくれていて、どっちが先に入るか、ジャンケンをした。


「あぁあ、負けたぁ、じゃ、ゆっくり浸かっといで…」


私の頭を撫でながら、蒼佑はそう言う。


「ん、じゃ、入ってくるね…」


着替えを持って洗面所に行く。


湯船に浸かりながら、先程の蒼佑の態度を考えた。


いつもの蒼佑なら、根掘り葉掘り納得のいくまで追求してくる。


上手くやり過ごせた?


それとも……


感の鋭い蒼佑の事、あの場所で浅野さんに会った事と、私の不可解な行動を、もしかしたら関連付けているのかもしれない。


隠し事は性に合わない、全てを言ってしまった方が……


でも、その事で明日からの旅行が、台無しにでもなれば……


どうしよう…





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