Realtime:kiss
蒼佑は私の両手を取り、その手を自身の手で包み込むようにして、立ったままの私を見上げながら話し出した。

「悪かったって…
上で奈緒に声掛けて、お茶に誘ったけど、何か腹が立って、謝るはずが、傷付けたって……

デパートの入口で俺らを見かけたらしいんだ、後を追っかけたけど、見失って…紳士服売り場でお前を見つけて…泣いてた。

謝りたかったのに、あんな在りもしない事、言うつもりなかったって…
暫くドルチェで奈緒の事待ってたよ、あいつ。
奈緒…お前が傷付く事って、一体何言われたんだよ…」


私は黙って蒼佑の話を聞いていた。



そっか……


謝りたかったんだ…

どこまでが本当の事なのか分からないけど、私の考えすぎだった、そう言うこと…

「…傷付いてない…だから蒼佑は、そんな事、知らなくていいんだよ?」


ニッコリ笑ってそう答えた。



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