君が想い出になる前に







「あ、次体育館で集会だから。
みんな移動してねーー」



「はーーい!」







なっちゃんの一声に
みんながまとまる。




すごいなーー

さすが委員長!!








「麻央!一緒に行こうか。」
なっちゃんが誘ってくれた。
「うん!ありがとう!」
嬉しくて笑顔で答えた。

本当に面倒見が良くて優しい娘だと思った。















「あ、麻央ー、あいつ怖がんなくていいからね?」




「ん?あいつ?」



「麻央の前の席の、沖田 龍。」



「あぁ…(沖田くんていうんだ。。)」



「龍って小さい頃両親亡くしてから今もずっと
施設にいるんだ。」



「え?施設ーー?」



「うん。中村学園っていう、児童養護施設。
校区内だから、うちの学校何人かいるよ。」



「そうなんだーー」



「そこでの龍の上の兄ちゃんたちが
結構な不良でさ。
不良集団とつるんでるから
見た目怖いけど
実際に学校で問題起こしたりしてないし、
意味も無く暴れたりする奴じゃないからさ。」




「なっちゃんは、昔から沖田くんのこと
知ってるの?」



「そ。幼稚園から一緒なんだ。
まぁ実際うちのクラスのみんなも龍のこと
怖がってるし、
龍もそれわかってるから
学校来なかったり、休み時間になるとすぐ
教室出て行っちゃうけどね。
クラスで龍とまともに喋るのは





ーー松本くらいかな。」






「ーー?惣右介、、も昔から?」



「いや、松本は中学からだけど、
なんかやたら龍のこと気に入ってて
入学してからずっと龍のあとくっついてるよ(笑)」




そういってなっちゃんは少し遠くを見た。


目線の先には



ーー惣右介。



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