恋はスプリンクラーとともに
その時だった――


非常ベルがけたたましく鳴り、スプリンクラーが作動した。


「か、か、か、火事だ!!」

益男さんはそう叫んで、私を一人残して部屋を飛び出した。


ちょっと!


確かに来るなとは思ったけどさ、普通彼女を置いて逃げる?


どうすればいいのよ。

裸の上にワイシャツ姿で逃げるくらなら、このまま焼け死んだ方がいいわ。

っていうか、このまま焼死体になって発見されるのも嫌だし、着替えよっ。


私はベッドから下りようとした。

ところが、水を含んだベッドカバーにひっかかって、頭から床に転げ落ちてしまった。


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