恋はスプリンクラーとともに
慌てて自分の体を確かめる。

よかったぁ

益男さん、ジャケットを着せかけてくれるだけのデリカシーあったんだ。


「先生、もう部屋を移してあげていいですか?」

イケメン天使様が仙人に聞いた。

「俺のジャケットはかけたけど、彼女、寒いんじゃないかな」


益男ぉ!

おのれのジャケットじゃないんか!


「由香里ちゃんは僕が病院に――」


そう言いかけた益男に、イケメン天使様は鋭い一瞥をくれた。


「この格好で? 馬鹿じゃないのか? とにかく別室で休ませるから」


話を聞くと、天使様はこのホテルのオーナーの孫なのだという。

被害状況の確認を手伝っていて、倒れている私を見つけたのだ。

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