威鶴のmemory


言いたいことがあるのはわかる。

しかもなんでドサクサに紛れて俺の彼女事情を探ろうとしてんだ。

しかも捨て犬みたく『拾う』とか言いやがって。



……でも、そうだな。

俺は拾われたんだろう。



「通りすがりの男が仕事紹介してくれて、部屋も用意してくれた」



勧誘……とは少し違ったな。


あの出会いは本当、不思議だった。



「……遥香」

「なに?」

「困ったこととかあったら、紹介カード持ってここに来い。依頼として引き受ける」



○印をつけた地図と、紹介カードを渡した。

「依頼?それがトーマのお仕事なの?」

「あぁ」



細かいことは……言えないな。

裏の仕事なんて、よく思われるわけがない。

だからこそ、『裏』なんだ。


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