威鶴のmemory


「そうね。情報は別のペアに頼んでおくわ。安全性を探すだけなら1日で出来るから。威鶴たちは人物特定、最終接触をお願い」

「はい」

「おーよ」



不安そうな叶香の顔に、笑顔が戻った。



「頼もしいです」



こうして俺たちは叶香の初依頼を受けた。













依頼の結果、そのストーカー(仮)男は『渡したいものがあるけど渡せない』、というただのヘタレな男だったわけだ。

ちょっとしたカツアゲから助けてもらったお礼がしたかったらしい。



──叶香に。



当の叶香は覚えていなかった。

特徴のない男だったからだろう。



対する叶香は常に胸元に十字架のネックレスを付けている。

それは遥香からの誕生日プレゼントで、叶香の名前にちなんで 『叶』→『十字架』を選んだらしい。



その十字架を男は覚えていたらしい。

でも顔はともかく態度が怖い叶香に近付くことができなくて悶々としていたらしい。

ちなみに叶香は、いつも家の近くで見るから遥香のストーカーだと思ったらしい。

叶香らしいっちゃ叶香らしい、小さな事件だった。
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