マンゴーにはなれそうもない
fifth, 愛あるHで悪化する病
消防士は体力練成って名目で、
スポーツをやるそうだ。

相撲とか、剣道、水泳、
そして柔道だった・・その日。


「え!? 挑んだ?」


年下男が、
あのガチムチの先輩に
自分から挑んだというのである。


「何があったか知らないけど、
先輩、ムキになって背負いで
アイツを壁に投げたンすよ・・。」


全治一週間のムチウチで
三日間の入院、明日退院してくるらしい。

言葉を失う・・。
何でまたそんな無謀な事を。


「無茶ですよね、アイツも。
黒帯だって解ってるのに・・。ア、」

「・・・・・・。」


トイレからの物音に慌てて口を閉じる
後輩達2人。

イスの軋み具合、あの体の厚み。
あの男はどう見ても重量級・・

年下男の方は恐らく70キロもない筈。

「・・・・・。」

「て、店長? エ、ソーサーまで・・
なんでまた暖め直すんデス・・?」


カウンターの中に戻って来てたバイトが、
あたしの手元と、顔を交互に見てる。

"何があったか知らないけど・・、"

あたしはぼんやりとグラグラ
沸騰する鍋の中のカップ一式と
ミルクパンに入れた
コーヒーが煮立つのを眺めてた。


「休憩してていいわよ?」

「はぁ・・・。」


トレイを自ら持ち、
三つのコーヒーを持ってカウンターを出た。


「お待たせしました。」

「おっ、店長が持って来てくれる
なんて珍しいな。サンキュー。」


後輩2人に先に配った後、
"熱ッ"と手を振って耳たぶを摘み、
クスと筋肉バカに微笑んでやる。


「滅多にしない事するからだよ。」


そう目尻を下げながら親切ぶって
トレイの上の物に大きな手を伸ばした。


「ダメよ、熱いから触っちゃダメ。」


とかいいつつ、
ナニゲにトレイを下げるあたし。


「大丈夫だって、たかがコーヒー・・
ダッちィ~~~~ッ!!!!」


ガシャン、ダバッ。


「がァーーーーーーーー!!!」


おぱんつまで滲みたのかしら、
またトイレにダッシュして行ったわ。

あたし、
触っちゃダメって云ったよね?



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