短編集~甘い恋~
静かなそこに、

『ヒック…ぅ…っ…』

小さな泣き声が、聞こえた。

木の上から覗いてみると…

『真鍋、優奈?』

柔道がとても強いと、ウチの柔道部のやつが噂していた。

その真鍋優奈が、涙を流していた。


その理由は、すぐにわかった。


柔道場から出てきた柔道部のやつが、
『まさか、剛田が勝つなんてな〜!真鍋優奈も大したことねぇんじゃね?』

そう、でかい声で話していたからだ。


その話し声はもちろん真鍋にも聞こえており、彼女はさらに泣く。

『悔しい…っ…、もっと練習して、強くならなくちゃ…っ』

顔を上げた真鍋の顔は、とても綺麗だった。

『真鍋ー!どこだー?』
N中のやつが真鍋を呼んでいる。

『はいっ、今行きます!』

真鍋は涙を拭い、
笑顔で向かった。

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