短編集~甘い恋~
「慶の好きな髪型って、ロングなんだよね。知ってた?」

知ってたよ。
だから、伸ばしたんだもん。

「とりあえず、慶の好みの髪型してるあんたの髪、バッサリやるから」
「ゃっ……」

いつもなら、大声だせるのに。
なんでこんな肝心なときに…声、でないの…っ。

ゆっくりと近づくハサミ。

視界が涙で滲む…。

どうして、こんな時、頭に浮かぶのが…

慶先輩なんだろう。

「たすけ…て…っ…」

――…慶先輩…っ
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