ALiCe

レイナルドは一瞬虚をつかれたように間をあけ、そしてけらけらと愉快そうに笑い出した。


今のは笑うところなのだろうか?

もちろん俺だってこいつが本気でついてきてくれるなんて思ってたわけではないのだけど。


「ふふ……。行きたい気持ちはやまやまですが今私が他の領地へ行くと少々面倒なことになってしまう」


面倒なこと?と多少疑問になったが今気にするべきはそこではないだろう。


「……ま、あんたにはあんたの事情があるんだろうから無理は言えねえ。でも俺1人じゃ華奈を探すのは難しいと思うんだよなあ」


遠回りに探す気はないと伝えてみる。
ぶっちゃけると俺が出会ったばかりのあいつを危険を承知で必死に探すわけがなかった。


レイナルドはまだクスクスと笑っている。
どうやらもともと機嫌がよかったように見えた。



「……チェス、が、ついていって……あげたら、だめなの?」

そこで突然蚊の鳴くような小さな声が聞こえた。

このか細さといいおどおどとしたのろい喋り方といいとても聞き覚えがある。


「……は!?」

声の主は俺の想像通り、メリッサだ。まあ先程からいたにはいたが、彼女はレイナルドの影に隠れていたらしい。すっかり忘れていた。
そしてさらりととんでもないことを言ってくれた。
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