溺愛彼氏。
私たちの日常。

「んじゃ、後でまた来るねー」
「いや、来んでよし」

由樹が此方へ手を振りながら教室へ入るのを見送ると、
私たちもそれと同時に自分たちの教室へと入った。

私と日暮は2-1、由樹は2-2。
二年生になって初めて、私と由樹はクラスが離れた。
最初はちょっぴり寂しくて、いつも休み時間になると私の方から由樹のクラスへ遊びに行っていた。
けど、それも立場は逆転。今では一時限終わる度、『恋ー、大好きだー』の声と共に私の教室へ駆けてくる。

いやぁ、此れで良かったんだ.....って、心から思えるよ。本当。
だってクラスが一緒だったら授業中でも、大声で愛とか叫んでそうだもん。
.....勘弁してほしいわぁ。

そんな事を思いながらも、無事に午前中を過ごした。

「んんーっ、つっかれたぁー」

私はあまり、勉強は得意な方では無い。
どっちかっていうと、英語の短文を聞いてうとうとしちゃう方。

「はは、お疲れ様ー。さてと、恋お昼は?」
「ああ、私今日は買い弁かなー」

うちの学校は給食が出ない。
だから食べるとしたら、弁当を持参して持って来るか、一階の購買でパンやらを買って食べるかの二択ぐらいしかない。
昼休み中も、校外に出るのは禁止されてるから外で外食、なーんて事も出来ない。
いつもはお母さんにお弁当を作ってもらってるんだけど、今日は色々あって弁当無。

『ごめんねー、明日は朝早くからご近所さんとお出かけしちゃうのよ。だからお弁当は、恋が自分で作ってね』

と言われていたが、昨日は疲れてすぐ寝てしまったらしく、
気づいた時には物の見事に朝だった。

「恋が買い弁なんて珍しいねー、何かあった?」
「はは、ちょっとまぁ...。とりあえず買って来るね」

私は苦笑いしながら教室を後にした。

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