由良さんが呼んでますので







人気の無い廊下。誰かに見られないように、先ほどよりも大きく濡れた目元を力いっぱい、腕で拭った



数分前まで、彼の温もりを感じていた腕で












────────────






だからどうしてこうなるのだろう



「・・・・・・」



数分前に通り過ぎた廊下を見やることも出来ない。あれ、私って方向音痴だったかしら、なんて聞ける人間がいないのでそんな台詞を吐くことも困難だ


いや、問題はソコじゃない



「もしかしてアンタさぁ、細木が懐いてるっていう女?」



いかにも不良ですって外見の男に絡まれてる。これこそが問題だ



赤茶色の襟足の伸びた髪。気崩された学ラン。加えて妙に整った顔に、ジャラジャラと音を立てるアクセサリー


あまり関わったことのない人種が、私の長ったらしい髪を優しく掴んで、撫でる



え、な、何この状況。普通は因縁付けられるもんじゃないの?何でこの人微笑んで嬉しそうに髪触ってるの??



「ああ、なんて可愛いんだろう・・・・俺のマリア」




ええええ!!何この人!何キャラ?!!!




< 39 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop