由良さんが呼んでますので
人気の無い廊下。誰かに見られないように、先ほどよりも大きく濡れた目元を力いっぱい、腕で拭った
数分前まで、彼の温もりを感じていた腕で
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だからどうしてこうなるのだろう
「・・・・・・」
数分前に通り過ぎた廊下を見やることも出来ない。あれ、私って方向音痴だったかしら、なんて聞ける人間がいないのでそんな台詞を吐くことも困難だ
いや、問題はソコじゃない
「もしかしてアンタさぁ、細木が懐いてるっていう女?」
いかにも不良ですって外見の男に絡まれてる。これこそが問題だ
赤茶色の襟足の伸びた髪。気崩された学ラン。加えて妙に整った顔に、ジャラジャラと音を立てるアクセサリー
あまり関わったことのない人種が、私の長ったらしい髪を優しく掴んで、撫でる
え、な、何この状況。普通は因縁付けられるもんじゃないの?何でこの人微笑んで嬉しそうに髪触ってるの??
「ああ、なんて可愛いんだろう・・・・俺のマリア」
ええええ!!何この人!何キャラ?!!!