由良さんが呼んでますので








それでも、焦がれるほどに待ち望んだソレを目の前に差し出されると、理解はしていても己を止めることは出来ないようで



だからこそ私は、彼の腕を取ったのかもしれない



「馬っ鹿だぁ・・・・・」



自分で選んで、後悔するだなんて



別に、彼を友人にしたことに後悔を抱いているワケではない。そんなものよりも先に、幸せの方が身体中を占めているから


ただ、多くを望みすぎたことを後悔しているのだ



彼に対して、自分に対して、周りに対して





あの人に、対して




『消えちゃえよ』



そう言って憎らしげに口角を歪めた表情が、今でも嫌い



もしかしたら嫌いなんじゃなくて、





─────────怖いだけかもしれないけれど



真っ黒に染まってしまいそうな醜い感情を振り切るように左右に首を振り 、溜め息を吐いた



相変わらず、私は進歩していない


彼と出会って、そろそろ成長していると思ったのに。相変わらず私は、子供のままだ



嫌だなぁ


こんなのだから、細木くんに嫌われちゃうんだ



「・・・・・・っ」



そんなことを考えていたら、自然と涙が溢れてきた


零れ、そうだ




何の意味も持たない感情を固めた、水が



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