風紀委員長の取扱い説明書




「初めまして、委員長。」


央采学園の風紀室。


深々と椅子に座った麗に、その美青年は柔らかな微笑を浮かべて言った。


4月。


央采学園風紀委員会の、新メンバーとの対面式だ。


「西園寺静馬…2-A。新しい副委員長、か。宜しく。私は我妻麗だ。」


麗が委員長席から立ち上がって手を差し出すと、静馬はその長い睫毛のかかる瞳を細めてそれに応えた。


交わした掌は、やけに冷たい。


「委員長の支えになれるように、誠心誠意尽くそうと思います。」


そう見下ろされ、麗は内心感心した。


≪学園の王子≫と形容されるその冷たい美貌は、至近距離で見ると確かに見惚れる程の物だった。


直接関わった事は無いが、麗は何度か噂で聞いた事はあった───1年の王子の事を。


超がつくほどの秀才で、ロシアとのハーフ。


絶えない告白を絶対零度の眼差しと共に断りまくり、あげくのはてには教師までも虜にする魔性の男。


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