風紀委員長の取扱い説明書
一度はその面を拝んでみたいと思ってはいたが、想像以上の極上の容姿を兼ね備えている。
鮮やかな金髪に、海のようなサフィイアの色を湛えた瞳。
白磁の色の肌は滑らかで、女として少し妬ましいほどだ。
麗はそんな絶世の美貌から目を離し、他の2年のメンバーを見渡した。
「少ないな。」
「あなたがまだ引退をしていませんからね。」
さらりとそう述べた静馬を、麗はギロリと睨み付けた。
「………これは失礼。口が滑りました。」
わざとらしく口許を手で隠す静馬に、麗は感心した。
コイツは見た目に反してなかなか良い性格をしている、と。
「………まあ、良い。早速だが、新委員の諸君に伝えるべき事がある。」
麗は2年生を見渡し、言った。
「我々風紀委員会は常に非情でなくてはならない。風紀を乱す者には厳しく処罰を与える。それが例え親しい友人であろうと、慕う先輩であろうと、だ。」