だから君に恋をしたんだ。
仕方ないか。

「灘町だっけ?今度行くの。」

「えぇ。そうよ」

「私と祐介とお母さんが行くの?」

「うん。お母さんと圭は、ここにいてもらうわ。」

お父さんはやっぱり残るんだ。
圭というのは、圭介。お父さんのこと。

「お祖母ちゃんは残るんだ。」

「お母さんには、この家を守って貰わなくちゃ。」

お祖母ちゃんは、死神の力を持っている。
歴史に名前を刻んだ。

私のお祖母ちゃん!

「んでさ、いつ行くの?」

「あれ?いってなかつたっけ?明後日までに行くのよ。」

「「明後日!?」」

これだから、監理局の言うことは怖いんだ。
何回も速く連絡をしろって言っているんだけどな。

「ならさ、早くいかない?俺の友達が灘町にいるんだよね。」

「知らないよ!祐の事情なんて。私はギリギリまでいたいよ!」

ここから離れるのは嫌だな。
だって、高校も決まってないんだよ?
皆にもお別れを言いたいし…。時間が欲しい。

「監理局への書類を早めに送らなくちゃいけないから、明日の昼過ぎに向かいましょう。」

「あいよ」

「え、学校の友達とか、新しい学校とかどうするの?」

明後日の早朝に変えて~!

「学校は向こうが手配してくれたわ。友達は、メールとかで話すしかないわね。」

「あ、明後日の早朝は無理なの?」

「灘町まで半日かかるのよ?書類もあるし、無理よ。」

そ、そんなぁ~。
お母さん…。どんだけ書類あるの~。

「引き際も肝心だぜ、姉貴。」

「うるさいなぁ~。解ってるよ~。」

仕方ない。

本日何度目かのため息。

早く支度をして、連絡をするか。

< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop