キラリ
「あの人、輝姫と同じ中学校じゃなかったっけ?」


グラウンドに戻りながら翔太が尋ねた。


「うん。

でも趣味が違うっていうか、あんまりよく知らない人」


ダサい、という言葉を何とか使わずに、私は千明の事を説明した。


彼氏の前では人の悪口を言わないようにしているからだ。


私のイメージも悪くなるし、それに今このタイミングで千明の事を悪く言うと、何だか私が千明に嫉妬してるみたいでもある。



嫉妬や陰口なんてものは

余裕の無さの現れだと思う。


この私が千明なんかに対して余裕を失う事など絶対にあり得ない。


たとえ今、不愉快な気分だとしても

それを顔や態度に出すのは見苦しい。



「ピアノ弾ける人ってすげぇよなぁ」


悪かったわね。

どうせ弾けませんよ。
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