キラリ
「痛みはありますか?」


「無いです」


「では、夜、寝ているときに痛くなって目が覚めた事も?」


「ありません」



先生は更に、「念の為」と言って私の背中や手足も調べ、それらのデータをパソコンに入力し終えると、静かだがはっきりとした口調でこう説明した。


「これは『進行性多発性歯状骨腫瘍』という、極めて稀な病気と考えられます。

500万人に1人ほどの確率で発症すると言われるものです。

骨腫瘍と名の付く病気ですが、これ自体は一般に骨腫瘍と呼ばれているものとは若干違います。

その辺りはあとで説明しますね。


輝姫さん本人にはちょっと酷な話かもしれませんが……どうします?

聞きますか?」


「……はい」



酷な話なら、本当は聞きたくない。


でも聞かないのはもっと怖い。
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