キラリ
同時に、千明がその唯一の取り柄によって栄光を掴むのだろうかと思うと

ちくちくと不愉快な気分にもなった。


音楽の道で成功を収め、華やかな人生を歩む千明と

病魔に冒され、外も歩けないほどに醜くなっていく私。


そんな、対照的な光景が目に浮かんだ。



「輝姫はどこの大学行きたいんだっけ?」


人の気も知らずに千明が尋ねた。


大学も何も、私なんか……。



これ以上、千明と進路の話をする事に耐えられなくなった私は

「あ。ノート写させてって友達に頼まれてたんだった。

ごめん、先に行くね」

と言って、千明から離れて1人で学校へと急いだ。
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