FlowerRose
「…英子、おいで?」
長い腕を広げて、カイは優しい微笑みを見せて、あたしに促す
「え…で、でも…」
「おいで」
カイの瞳は優しくて、あたしの胸はドキンドキンとリズムよく高鳴る
―あの腕に抱きしめられたらあたし、気絶しそう―
そんな事を思いつつも、あたしは自分でも気付かない内に、カイの腕の中に飛び込んでいた
瞬間、きつく抱きしめられるあたしの体―
胸の鼓動はさっきの何倍もの早さになっている
もしかしたら、カイに気付かれているかもしれない
でも今は―
暖かいカイの腕の中に全てを任せてもいいかな、なんて思ってる自分がいる
「…英子…こわい?」
あたしを抱きしめる腕により一層力を込めて、弱々しくカイは言った
「…え……それは…」
―よく分からない―
カイが好き―
誰よりも、世界で一番好き―
でも―
「英子がこわいなら…しないよ、オレ」
―え?
声に出したかったのに、出せなかった―
耳元で囁かれたカイの言葉によって―