FlowerRose
オレはその言葉を振り払った
「…じゃ、言いたい事はそれだけだから」
「え?」
不思議そうに、オレを見上げる英子
「アイツが待ってるんだろ?美味しいケーキ屋さんで」
「あっ…」
「…英子、笑って?」
オレは英子に言った
「へ?」
「怒ってる顔も、泣いてる顔も可愛いけど、やっぱり英子は笑ってる方が一番可愛いから」
素直な気持ちだった―
英子はその言葉を聞くなり、頬を真っ赤に染めた
「バカ…彼氏がいるのにそんな顔すんな」
「あ…」
「だーかーらー、英子は笑ってろ!分かった?」
「……うん!」
英子は頬を染めたままで、満面の笑みを見せた
「うん…やっぱりその方が可愛い」
「も、もお!からかわないでよ!」
「あはは、からかってないって!ほら、彼氏のトコ行けよ!」
英子は一瞬複雑そうな顔をしたが、オレに背中を押されると、すぐに笑顔に戻った
「…じゃあ、バイバイ!」
「バイバイ!」
オレと英子は笑顔で別れた
「…英子…オレはお前の幸せを願うよ…」
英子が見えなくなって、オレは一人呟いた
「…なーんて…フラれちゃったよ…オレ…カッコ悪…」
そんなオレを嘲笑うかのように、頭上からはポツポツと雨が降り出していた