FlowerRose



オレはその言葉を振り払った



「…じゃ、言いたい事はそれだけだから」

「え?」



不思議そうに、オレを見上げる英子



「アイツが待ってるんだろ?美味しいケーキ屋さんで」

「あっ…」

「…英子、笑って?」



オレは英子に言った



「へ?」

「怒ってる顔も、泣いてる顔も可愛いけど、やっぱり英子は笑ってる方が一番可愛いから」



素直な気持ちだった―



英子はその言葉を聞くなり、頬を真っ赤に染めた



「バカ…彼氏がいるのにそんな顔すんな」

「あ…」

「だーかーらー、英子は笑ってろ!分かった?」

「……うん!」



英子は頬を染めたままで、満面の笑みを見せた



「うん…やっぱりその方が可愛い」

「も、もお!からかわないでよ!」

「あはは、からかってないって!ほら、彼氏のトコ行けよ!」



英子は一瞬複雑そうな顔をしたが、オレに背中を押されると、すぐに笑顔に戻った



「…じゃあ、バイバイ!」

「バイバイ!」



オレと英子は笑顔で別れた





「…英子…オレはお前の幸せを願うよ…」



英子が見えなくなって、オレは一人呟いた



「…なーんて…フラれちゃったよ…オレ…カッコ悪…」



そんなオレを嘲笑うかのように、頭上からはポツポツと雨が降り出していた

< 82 / 118 >

この作品をシェア

pagetop