お腹が空きました。
思いっきり首をそらし、気まずそうに狼はブスッと唇を曲げる。
紗耶はポカンと口を開けながら目を丸くした。
「…いるのかいらないのか。」
「い、いりますいります!」
低い唸り声に似た恐ろしい声に紗耶は反射的に頷き、ものすごい速さで箱を開ける。
パカッと開いた瞬間、ぶわっと幸福な香りに体全体が包まれた。
うわーっ!美味しそう…っ!
今すぐかぶりつきたい衝動にかられながら、了承を得るように紗耶は杉崎を見上げた。
杉崎は腕を組みながら、アゴをくいっと動かし無言で「食え。」と返答する。
「い、いただきます…っ!」