お腹が空きました。


シャカシャカシャカ…


「しかし驚いたぜ…。」

「何がですかー?」

対面キッチンの正面から覗き込みながら紗耶は間延びした声で答えた。

「店の二階から降りたら、お前が道の真ん中でフリーズしながら雨に打たれてるんだもんなぁ。」

「あーーーー…。忘れて下さい。ぜひとも。」

紗耶は遠い目をしながら対面キッチンに横顔をうずめた。


シャカシャカシャカ…


「しかもガキみたいな顔してすすり泣いてるし。」



「ギャーー止めてーー。」



あああああ…と紗耶は耳を塞いで虫みたいな顔をした。


杉崎はクックッと堪えるように小さく笑い、生クリームを均等に泡立て器で打つ。


「何事かと思ったぞ。」


「もうせっかく美味しそうなものを目の前にしてるのに、その話は止めましょうよー。」


力なくゲソッとうなだれる紗耶に杉崎はまたニヒルに笑う。




「うまそうか?」








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