お腹が空きました。


「次、スポンジ。」


「はいっ!」


杉崎は仕上がったボールを置き、スポンジの周りの紙型をビリビリ破き始めた。


「…あの、これいつ焼いたんですか?」


「んあ?あー、朝。」


「朝?!」


「悪いか。」


いえいえめっそうもっ!と言いながら紗耶は首を振った。

「…こう、時たま無性に作りたくなるんだよ。衝動的というかだな。そう言うときは勝手に早く目が覚める。」


そう言いながら杉崎はスポンジをスパンスパンと3段に分けた。


「ここに、俺特製シロップを染み込ませる。」


「俺特製…。」


「何笑ってんだテメー。」


クスクス笑う紗耶をたしなめながら、慣れた手つきでハケを使い、杉崎は次に生クリームを平べったい道具にフワリとすくった。


「、ぅわーーー…っ」


しゅるしゅると音が聞こえそうなぐらい綺麗に伸びていく生クリームに感動すら覚える。

「神業ってこういうこというんですねー…」

「阿呆。普通だ。」


眉間にシワを寄せながら杉崎がイチゴに手を伸ばす。





< 59 / 324 >

この作品をシェア

pagetop