恋……スル?-菅野 聡 編-
「見てご覧よ!
この僕が身に付けるものとは到底思えないような地味な指輪を!」



そう言って、大沢さんはそのボロクソに言われた指輪を右手の薬指に挿して、これでもかと私に近付けて見せた。



…今回私がデザインした大沢さんへの指輪。

“僕に似合うもの”って事で、余計な装飾は一切外し、悪く言えば地味かもしれないけれど、なるべく目立たない比較的シンプルな作りにしたのだ。


でもそれは、私なりに考えてデザインした結果なの。



「ダイヤもついてなければ、金もプラチナもない!
まるで貧乏人がつけるような、おもちゃのそれと何が違うんだ!」



お金持ちでナルシストな彼だけど、クールで優雅な大沢さんとは思えないほどの怒り。

地味で飾り気のない指輪に心底ご立腹なようだけど、私だって一応考えてデザインしたものなんだ。


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