恋……スル?-菅野 聡 編-
「…………っ………っ」



武藤くんにズバリ私の現実を言われ、さすがにグサリと傷付いた。


どうせ私はかわいそうな女よ!

仕事じゃ上司に怒られてばっかりで、帰っても自炊すらしないし掃除もしない。

いつまでも過去に捕らわれて新しい恋もできない。


でも私だって、本当は幸せに…………っ




「なん…て顔しやがんだよっ」



「え…?」



視線を武藤くんに戻すと、動揺した様子がじんわりと私の瞳にぼやけて映った。


あれっ
私、泣いてる…?



「オ オレんとこの野菜でよかったら、いつでも分けてやるからよ!
もう、その…そんな顔するなっ」



「武藤くん…?」



武藤くんは私の腕を掴むと、グッと強く引き寄せた。



「不規則な生活してる奴もムカついて見たくねーけどよっ
でもオレは、目の前で泣く女の方がよっぽど見てらんねーんだよ!」





ドキン

そんなストレートな言葉に胸が鳴ってしまった。


だって、まだ会って3回目くらいなのに、しかも全然タダの他人なのに。



「だからもうこんな弁当買う必要ねぇし、それに……っ」





そんなに私を心配してくれるのは、武藤くんの性格?

それとも、私の事を本当に想って…?










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