恋……スル?-菅野 聡 編-
「…コラコラ、ガキンチョが年上のオンナからかうんじゃないの」



「な…っ」



私は掴まれた腕を振り払い、武藤くんの持つラザニアの入ったレジ袋を奪い返した。



「大人ってのはね、あんたが思ってるほど、きれい事だけじゃ済まされない事もあるのよ」



仕事は定時に終わらせてお買い物行ってご飯作って、夜は早めに寝るって?

世の中、みんなそんな風にできたら苦労はしないわよ。


夜分にコンビニご飯もツラいけど、でも好きでやってる事だもの。
だからって、仕事辞めたいとか思うわけじゃない。



鯵T着たって腹巻きナルトになったって、私は私を変える気なんてないもんね。



「…フン。何がガキンチョなんだか!
オレからすりゃ、お前なんかオバサンじゃんよ」



「なっっ
なんですってぇー!!」



「じゃあな。
また野菜欲しくなったら、うちまで定価で買いに来いよ。
オ バ サン」



そう言った武藤くんは停めていたバイクに跨がると、アクセルを回して車道の向こうへと消えていった。



「誰がオバサンだぁ!
私はまだ20代だってのー!!」






…なんて言ったものの。
若い子に言われると、ちょっとやっぱりオバサンかなぁと不安になってしまうのだった…。











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