恋……スル?-菅野 聡 編-
それから。
街灯も少なく、暗い夜道をラザニアの入ったレジ袋を持って、アパートへとトボトボ歩いてる時だった。
「――――!」
どこからかギターの調べが耳に届き、私は足を止めた。
「こんな夜分に迷惑な奴がいるんだから!
どうせいつも街中をフラフラしているニートか何かが…」
そこまで言って、ハッとした。
ギターを持っていて街中フラフラしているニート…
つい、心当たりのある人物が頭を過ぎったのだ。
「…まさかアイツ?
ほんっと、あーゆーのは誰かが言ってやらないとわかんないのよ!」
耳を研ぎ澄まして音のする方角を確認すると、多分近くの公園だと思い、私はその方へと足を向けた。
(明日が休みじゃなかったら、わざわざ行ってやらなかったんだから!)