知らない闇と、骸
そろそろ本編?参


その日、アレンは中庭にいた。

ジロとマルツと三人で、バラの香りを楽しんでいた。
「バラは本当に美しいですねぇ・・・。アレン様に良くお似合いですよ。」
「ありがとう、嬉しいわ。だけど・・・。」
バラは確かに美しい。
朝露に濡れ、絶世の美女が沐浴を終えたような美しさに囲まれているのは、たしかに気分がいい。
しかし。
「バラにはどうして、青色が無いのかしら・・・。」

きっと、朝露でぬれた青いバラがあれば、この花園はさらに美しくなるだろうと思っていたのに。
薫り高く、おおぶりで美しい花たち。

「アレン様、バラのDNAとやらには青になるためのものが無いと聞きました。自然に青バラを作るのは不可能でしょう。・・・ですが、人工でなら、或いは・・・。」
マルツは持ち前の多き知識で答えてくれた。

「人工でなら可能なの?」
「ええ、そういわれていますが。現在の科学の力では到底・・・。」
「そう・・・。もし出来たなら、私も欲しいな!!」
その様子を、ジロはつまらなそうに見ていた。

男だし、バラだし、つまらないのかな?



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