知らない闇と、骸

アレンはいつもどおりだった。
上級貴族らしい格好をして、生活をすごして。
彼女は何一つ、変わらなかった。

おとなしく冷静で賢い、と定評のある彼女は実は、好奇心の高い無邪気な女の子だった。
アレンは、使用人のマルツに連れられて、図書館へ行く。
図書館の奥隅のほうで、気になった本を読み漁り、それを実践するといった遊びをする。
そんな毎日を送っていた。

その日も、アレンは図書館へ来ていた。
立ち入り禁止の個室付きエリアへの扉を、金と権力でこじ開け。
今まで一度たりとも入ったことのない世界へ足を踏み入れた。

電気のスイッチは見当たらず、中は暗いまま。
一緒に入ってこようとする、係りのものを追い払い一人、その薄暗い中残った。
古めかしい音を立てて扉が完全に閉まると、電気のスイッチが入った。
それから同時にカチャリ、と外からか中からか、鍵がかかった。
「閉じ込められた?」
背後の扉を見やった瞬間、奥のほうに人の気配を感じた。

バッと振り向き、その先にいたのは・・・。
「男・・・?」
アレンよりも少し年が上そうな美少年が大きなソファーに寝転がり、目を閉じている。
ただ男には不自然な点が幾つか、あった。




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