知らない闇と、骸


頭のてっぺんのサイドに、チョコンとした二つの角。それから横向きに寝ているからか尻から伸びているように見える、長~い尻尾。
人にあらずのその姿。

アレンは二度三度瞬きを繰り返すと恐々その人もどきに近付いた。
人型でありながら、人にならぬものを持つソレは、手を伸ばし触れようとしたアレンの手を掴んだ。

「鬼か、死神か、妖か、悪魔か、・・・人か?」
アレンは遊びだと思った。
この薄汚い格好をした、おそらく低俗の少年は、気高い私が珍しくてその私と遊びたいのだと。
「私は神。お前は何だ?神の手を握るのか?」
アレンはゼウスの声を真似て言った。




「フ・・・神、か。俺は妖魔だ。」
「妖魔?・・・名前は?」
「・・・。ねぇよ。俺に名前なんてありゃしねぇ。」
なんと、この少年は名前がないのか。と驚愕した。
それがこのままごと内においての設定だとも考えず、彼女は名案をひらめいた。


「なら。なら私が、あなたになまえをつけてあげるっ!!」
アレンはいつもの口調に戻り、曇りの無い無垢な瞳を彼に向けた。



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