知らない闇と、骸


ジデュロとは、星の管理人、という意味がある。
「私はね、星の入り口を見たい。」
アレンは夢見ている。
あの空にきらめく星たちが、作り出す星の入り口からでしか見られないといわれる聖星という幻の星が見られるのを。
そして、その星の入り口を作り出すことが出来るのは、星の管理人。ただ一人だ。

聖星を見られれば、何でも願いが一つ叶うという。
アレンは信じていた。
いつか、聖星を目にし、世界中に幸せが降り注ぐことを。

「幸せなお嬢様だな。」
皮肉を、彼女はしっかりと受け止め、返した。
「・・・人は必ず、幸せになれる。世界は必ず、平和になれる。」
人は誰しも、幸せになる資格を持っている。
人は誰しも、欲に打ち勝つ自分を信じる心を持っているから。
その思いが、途切れない限り。
信じている。いつまでも、信じ続けている。




アレンは母の言葉を思い出した。
あの、病室のベッドの上で今にも死にそうな母が、私の手を握って言った。
『いつか格差社会がなくなり、人は幸せになれるわ。・・・アレン、あなたは、あなたなら、星の入り口を見つけられるわ。ママの、願い。あなたが幸せになるために・・・。星の入り口。聖星はきっと、きっと、あなたを幸せに導いてくれる・・・。』


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