知らない闇と、骸


握っている手から力が抜け、重力に従い体の傍に落ちていった、母の小さく、白く、暖かい手。
零れ落ちるのが、涙でなくなってしまったのはこのときからだった。
・・・私の瞳から、宝石が落ちてくるなど誰が思うだろうか。


「ふはっ!!本当に探しているのか。ふぅん。本気なんだな。ただの夢見る乙女かと思えば、強い意志を持ってやがる。・・・・・・気に入った。ジデュロの名前。貰うぜ。」

ジデュロは起き上がり、腕輪を外した。
「ほらよ。」
腕輪を放った。
見事な弧を描いて、アレンの手の中に納まったソレは次の瞬間意思を持ったかのように、アレンの右腕にまきついた。
キュ、と締まりそしてルビーが輝きだす。

「えへへ。」
それを見て、アレンは満足げに笑った。


ルビーは、アレンの中にある何かに反応してそれまでより強く輝いている。











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