知らない闇と、骸


「知らなかったのか?妖魔との契約の方法は二つだ。一つは血の契約。互いの血を入れたコップをお互いが交互に飲みあう。
もう一つは、妖魔に名を与え、その礼に妖魔はその者に自分の魔力で作った物を渡すんだ。」
妖魔には、もともと名など無いのだという。
つまりは。

「お前は無意識の内に俺と契約してたんだよ。」
事実、アレンの腕には取れなくなった魔力がこめられているだろう腕輪がキラキラと光り輝いている。
アレンは正式なる、ジロの主なのだ。


「私が・・・主?」
今まで、中身はただの女の子。な人生を送ってきたアレンにとって、主という言葉はしっくりこない。
無意識のうちに、突っ立ってしまったらしい。





「アレン様!!」
突っ立っている行為は、アレンにとってしてはならぬ決まり。

「何をしているのですか!!仮にも貴族のお嬢様なのですよ?!」
ましてや、下級族の目がある図書館では・・・。

走りよってきたマルツの顔は険しい。
「決して、気を緩めてはなりません。と何度も念を押したでしょうに!!」
むしろ嘆いているようだった。





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