複雑な感情、365日。


*** *** ***


「コラ遠藤!授業中に寝るな!」

ばしっ

「ったあ!何すんの先生!!」


5月半ば。
昼食後の理科の授業中。

あたしはうっかり寝ていた。

4月頃は真面目にやってたんだけど
だんだん面倒臭くなって・・・


「何だよ、あいつー。
なにも叩かなくったって
いいじゃんかあ!」

授業が終わり教科書を
ロッカーに仕舞に行く途中。

あたしは涼香に愚痴を溢していた。

「あっははは!
あん時はホント笑った笑った!!」

「笑うな」

べしっと軽く肩パン。

「まあまあ、いいじゃん?
イケメンさんに構ってもらって」

「あたしは中身重視!!
あんなウザいの眼中にないっつの」

少々眉間にシワを寄せる。

みんなの目の前であんなの、
結構恥ずいんだから!

見かけ倒しで短期で
生徒を嘲笑ってそうな
あの笑顔!

何もかもムカつく!


なのにあたしは

「おーい理科係。
このプリント配っといて」

理科係。

4月の係決めで涼香に
強制的に参加させられた
じゃんけん大会。

これは理科係の座を争う女子達の
戦い。

それに勝ってしまった。

涼香と共に。


「はーい!」
「うげぇー」

元気良く返事したのは涼香。
後のがあたし。

「コラ遠藤!その返事はないだろ」

「は!あ!い!」

あーウザいウザい。

いちいち突っかかって来んなし。


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