†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
部屋に入り、鍵を閉める。
ふわりと香る彼の匂い。
もう何度も来てるのに……今日に限っては凄く緊張する。
「樹里、上がれよ」
「う、うん……」
あたしは彼に促され、部屋に上がる。
相変わらず、整理整頓された綺麗な部屋。
黒と白で統一されたモノトーンな部屋が、とても彼らしくて……。
そんなことを考えていると、いきなり視界が真っ暗になった。
「れ、廉…?」
「樹里……何を隠してる?」
廉はあたしを強く抱き締めながら、そう聞いてきた。
やっぱり、気付かれてたんだ……。
「だ、大丈夫。本当に…何もないから……」
「嘘を付くな。この俺を誤魔化せるとでも思ってるのか?」
廉は低い声でそう言った。
確かに…廉を誤魔化そうなんて、そう簡単にできることじゃない。
言うしか…ないのかな……。