わたしのピンクの錠剤
 
加藤先生が帰った後も私は何も手につかなかった。

胸を締め付けられたように急に息苦しくなったり、熱もないのに身体が震えたりした。


 親父、速く帰ってきて。

切なくて、悲しくて、心細かった。

一人では、いられなかった。



ベッドを抜け出すと、公衆電話に向かった。

なんとか片足で跳ぶ様に移動できた。

でも、その度に胸が痛んだ。

手すりに掴まりながら、必死だった。



辛かった。

苦しかった。

顔は火照っているのに、背中はゾクゾクした。



電話した相手は立花先生。

教わったように「緊急です」と伝えた。




「先生、助けて。私、どうしていいか、わからない」


そう言うのが精一杯だった。


そして、そのままその場にしゃがみ込んでしまった。


 
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