幸せまでの距離

心底、人を救いたいと願う人にし か続けられない職業だと言っても 過言ではない。

現に、アルバイトを掛け持ちしな がら、パートタイムでカウンセリ ングの仕事をして生計を立ててい る卒業生も多くいる。

「失礼な言い方になってしまうけ ど、星崎さんのように強い意思を 持つ学生も珍しいよ」

笹原は紅茶カップ片手に、言っ た。

「もちろん、将来の夢を真剣に考 えているその姿には、僕も胸を打 たれるよ。

初心を思い出させてもらえる、貴 重なものだと思う」

「そんな、大それたものじゃ ……」

ミズキは首を横に振る。

「いやいや。お世辞抜きに、そう 感じたよ。

星崎さんのような女性がカウンセ リングをしたら、多くの命が救わ れるんだろうなと、ね」

「……そうでしょうか」

謙遜(けんそん)でも無く、ミズ キはためらいがちに言った。

「私、本当にカウンセリングのお 仕事に就けるんでしょうか……。

絶対諦めない!って、気合いだけ はあるんです。

そのためなら、どんなに難しい勉 強だってやってみせます。

でも、そういうことじゃなく て……。

うまく言えないんですけど」

昨夜、メイが黙って家を出て行っ てしまったのは、自分の配慮が足 りなかったせい。

ミズキはそう感じてならなかっ た。

いつもメイのそばに居たのに、肝 心な部分で彼女の心を見抜けな かった。
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