幸せまでの距離
あいまいな関係のまま、2人は4月を迎えた。
新年度。新しい生活。
桜のにおいと、やや肌寒い風。
少し大人になった気分で、リクは自室のクローゼットにかけてあったスーツに腕を通す。
春休み中に、両親が購入してくれたものだ。
N大学の法学部に合格できた喜びを改めてかみしめながら、全身が映る鏡で身なりの最終チェックをする。
「おかしいとこ、ないよな?」
髪にもスタイリング剤をなじませ、派手すぎない程度に遊ばせる。
ネクタイも、たどたどしい手つきでだが結ぶことができた。
「俺、絶対メイに認められるような男になるから……!
待っててな、メイ」
鏡の中の自分を見つめ、大学生活での目標を口にする。