幸せまでの距離

あいまいな関係のまま、2人は4月を迎えた。

新年度。新しい生活。

桜のにおいと、やや肌寒い風。


少し大人になった気分で、リクは自室のクローゼットにかけてあったスーツに腕を通す。

春休み中に、両親が購入してくれたものだ。

N大学の法学部に合格できた喜びを改めてかみしめながら、全身が映る鏡で身なりの最終チェックをする。

「おかしいとこ、ないよな?」

髪にもスタイリング剤をなじませ、派手すぎない程度に遊ばせる。

ネクタイも、たどたどしい手つきでだが結ぶことができた。


「俺、絶対メイに認められるような男になるから……!

待っててな、メイ」

鏡の中の自分を見つめ、大学生活での目標を口にする。

< 34 / 777 >

この作品をシェア

pagetop