君の涙にキスを ~燐&蓮編~
私が近づくと、ソレは「グゥゥゥゥ」と威嚇するように唸る。

けれど、出血量が多く足に力が入らないみたいで

寝そべったままだ。

「大丈夫。怖くないから―――――。」

そっと、頭を撫でてあげる。

犬、と言うよりは狼か。

珍しい―――


「もしかして、燐君?」

自分でも、バカな事を言っていると思った。

けれど、何だかその毛の色と眼の色が彼と同じだったから

ついそんな気がした。


悠長な事を言ってる場合じゃないよね。

えっと、このあたりに獣医はっと―――

『あ、さこさん・・・?』

声が聞こえた――――

今、確かにこの子が喋った。

「まさか、本当に燐君?」

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