きのこうどん
畑は山ばぁの家から歩いて
数百メートルの坂を下った先に畑が広がる。
さっき車で通った場所だ。
 
大人の身長だと
畑から家を確認することができるが、
子どもの身長だと高台が陰になり
少し危うい。
 
グランド以上に大きく広がる田園地帯。
周囲の農家の管理する地帯も含まれていて
そのためどこからどこまでが
山ばぁの土地なのかよくわからなかった。
 
畑に着くと母さん達は早速作業に取りかかり
ボクらも帽子に水筒と万全の体制で彼女あらが行っている様子をぼんやりと眺めた。
 
「ねぇ?ボクらもしていい?」

そう聞くと、
山ばぁがボクらに向かって言った。
 
「好きなの採ってきてええから。」
 
山ばぁのとうもろこし畑。
天高くまっすぐに伸びたその植物は
やわらかな土の元、力強く生きていて
優しくボクらを歓迎する。
 
夏の畑。
それは迷路のように行く先の視界を
狭めているのだけど
明るい太陽が差し込みボクらに期待を与えた。
 
ボクはすぐに畑に入った。
足が沈み、
体が葉に触れチクチクしたけれど。
楽しくて動き回っていた。
 
「ねぇ、ちこ!おっきいの探そうよ!」

「え~?ここヤダ!私は入りたくない。」
 
ちこがすごい顔して訴えた。
人の鼻の穴は
ここまで大きくなるのかってくらい
顔がゆがんでいる。
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